《 心得について 》
お遍路は修行や懺悔のイメージもあるかもしれませんが、そんなに難しくはありません。手を合わせて「大切な人の幸せを願う」事が最も大切な事です。
日常生活では、なかなか、心を静かにして「大切な人の幸せを願う」機会などございません。他人の幸福と自身の幸福が重なった時、心から癒されることでしょう。

《 遍路の成り立ち 》
そもそも遍路というのは、空海を慕って足跡を辿った旅が始まりですが、江戸時代に今のシステムが確立され、旅の目的だけでなく修行の一環としても確立されました。
旅としての参拝であれば、 手を合わせて「大切な人の幸せを願う」事で良いと思いますが、修行の一環として参拝するのであれば「歩き遍路」となります。
何かを成し遂げる前に「神様、見届けて下さい。」と誓いを立てながら、どんなに厳しい状況であって、言い訳をせず八十八ヶ所の寺院を参拝します。
その苦しい体験により、なにかを成し遂げる前に、心が折れそうになった時に「神様に誓いを立てた事」を、心の支えにして信念を貫きます。
お遍路を結願した事は心願成就の「始まり」を意味します。 そして、心願成就がなされた時に、再度、感謝を伝えに来る場所です。
神社仏閣への参拝は「何かの見返りを求める場所」ではなく、誓いを立てたり、感謝を伝えに行く場所です。

《 作法について 》
信仰として参拝するのであれば、四国に倣った作法で行います。四国でもそうですが、お遍路は、本堂下の階段の外でお参りを済ませる事が作法です。
お遍路は寺院の行事でも無ければ法事でもありませんので、寺院の行事の妨げにならないよう、ご配慮をお願いします。
ご住職さまのご厚意により、本堂でのお参りをさせて頂く事もありますが、それはご厚意として受け止める事で良いと思います。
尚、伊豆八十八ヶ所霊場は風前の灯で無住のお寺も少なくありません。多くの寺院は大師堂もありません。皆様が参拝する事で伊豆霊場が復興する事を願っています。
- 山門や仁王門では、笠を脱ぎ、一礼して境内に入ります。山門が無い寺院もありますが、同様に笠を取り、一礼して境内に入ります。
- 数少ないですが、手水場がある寺院では、神社の作法(左手・右手・左手・口)で手と口を清めて、本堂に向かいましょう。
- 本堂前に線香鉢や灯明台がある寺院は線香と灯明をあげる。線香は一般的には3本を揃えてあげる。
- 納め札と賽銭を納める。納め札には住所・氏名・年齢(数え年)・参拝日・願意を書いて納める。納札箱があれば、そこに入れますが、無ければ賽銭箱でも良い。
- 写経した般若心経を納札箱(賽銭箱)に納めるか、仏前勤行次第を読経する。宗派により異なりますが、四国に倣って「真言宗」の仏前勤行次第をご用意して下さい。
- 納経所(寺務所や兼務寺院)に行き、奉納し納経印を頂く。
- 入ってくる時と同様に、山門や仁王門では、笠を脱ぎ、一礼して境内を出ます。
